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MBTIとソシオニクスの違い:心理機能と情報要素

前回 はJ/Pの違いについて触れたが、MBTIとソシオニクスは4指標の定義、心理機能(情報要素)の定義においても異なっている。以下はWorld Socionics Societyが挙げた両者の違いとなる。 ①各指標が意味するもの ・MBTIのI / Eは「人と関わってエネルギーを得るか」だが、ソシオニクスではFに依存する。外向T型は交流をあまり必要とせず、内向F型は人と関わることを好む。 ・MBTIのN / SはN型のみが創造力・発想力に富むというバイアスがかかっており、S型は過小評価されている。ソシオニクスでは両者が得意とする領域で公平に取り扱われる。 ・MBTIのT / Fは「厳しさ・優しさ」を表すが、ソシオニクスでは競争心・攻撃性・厳しさはSeに依存する。よってソシオニクスにおけるSe優勢タイプの多くが、MBTIではT型になる。ソシオニクスのFは親切心・寛大さではなく、対人能力を表す。よってSe-Fタイプは社会的に優位に立つためFを利用する。 ・MBTIのJ / Pは「組織力・計画性の有無」を表すが、ソシオニクスではTに依存する。よって多くのF型がMBTIでPと判定される。ソシオニクスの合理・非合理は物事が「どうであるべきか(T / F)」「どうであるか(N / S)」というアプローチの取り方に焦点を当てる。EIE(ENFj)やEII(INFj)は計画性に欠ける可能性があるが、「自分の感情は正しい」「他人はこのように感じるべきだ」という明確な見解を持つタイプとなる。 ※なお、わかりやすくするために特徴を挙げたが、詳細は各指標に関する記事で確認して欲しい。 ②MBTIの認知機能とソシオニクスのIE ・MBTIのSe(現在を生きる、快楽を求める、美的感覚)=ソシオニクスのSi ・MBTIのSi(記憶、歴史、比較、時間感覚)=ソシオニクスのNi ・MBTIのSi(ルールを守る)=ソシオニクスのTi ・MBTIのTi(物事の仕組みを解明する)=ソシオニクスのTe ・MBTIのTe(権威、指揮、上下関係)=ソシオニクスのSe ・MBTIのFi(感情の状態)=ソシオニクスのFe ・MBTIのFe(人間関係、社会的に適切な態度)=ソシオニクスのFi ※ソシオニクスについては「 情報要素 」を参照。 ③グループ分け ・MBTI

情報要素①

ソシオニクスには「情報の側面」と「情報要素」という二つの概念が存在する。現実に存在する客観的な側面が「情報の側面」、それを主観的に知覚する精神の特性が「情報要素」となる。ソシオニクスにおいて、「情報要素」と「心理機能」は別のものである(MBTIについては MBTI:心理機能 を参照)。 各情報要素が知覚する対象は次のようになる。また、外向はオブジェクトそのものを、内向はオブジェクト同士の関係を知覚する。 ● →オブジェクトの外観と形状を知覚 ▲→オブジェクト内部の本質と構造を知覚 ■ →空間におけるオブジェクトの運動状態を知覚 →オブジェクト内部の運動状態を知覚 〇→オブジェクト内部の状況を知覚 △→時間を知覚 □ →空間におけるオブジェクトの位置関係を知覚 →オブジェクトの引力と反発力を知覚 以下は各研究者による情報要素の定義となる。 ① オーシュラ・オーガスタ ② リチク、フィリモノフ ③ グレンコ ■ :実用の論理( Te ) ①生物および無生物オブジェクトの身体活動、行動、行為に関する情報を知覚する 。進行している事態を理解する能力。物事の対処法を考え、合理的な行為と非合理的な行為を区別して、他者の仕事を管理する能力。この要素が主導する場合、自分や他者の仕事を計画し、プロセスの論理と矛盾を理解し、これに従って他者の業務や活動を調整する。最も合理的な行動を個人的に適用し、それを他者に伝える能力。 ②周囲の世界の認識、人々、行動を通して自身や他者の合理性を評価する。事実、行為、プロセスを分析する能力。論理的行為と非論理的行為を区別し、それらが適切か評価し、活動を最適化する能力。事実とパターンに関する情報を蓄積。外部の干渉に抵抗する方法を選択する能力。運動と空間の知覚。 ③収益性の高い行動の計算。仕事、利益、お金。自動化、活動への渇望。心理的には、運動の興奮状態、有用な活動への希求を引き起こす。作業能力が向上し、活力に満ちる。この状態はエネルギー消耗が激しいため、しばしば神経質かつ抑制に欠ける。仕事からの気晴らしは時間の浪費として認識される。 □ : 構造の論理( Ti ) ①距離感、重量、体積、価値、強度、品質など、 客観的な指標に基づき、あるオブジェクトを別のオブジェクトと比較

二分法:概要

MBTI同様、ソシオニクスにも二文法が存在する。MBTIの場合、E/I、N/S、T/F、J/Pという4つの指標のみだが、ソシオニクスには15の指標がある。4つの指標はユングを参考に設定されたものだが、11の指標はReininが追加したものである。11の指標は文字として表記されないが、タイプの特徴を表すとされる。なお、この記事は概要のみとなっているが、各指標の詳細は順次、投稿していく。 レーニンは二分法の存在を数学的に証明したが、この二分法を使用することに批判的な研究者もいる。ストラチエフスカヤやグレンコは二分法を利用して、タイプ間の関係やクアドラの説明を試みている。また、ソシオニクスの二分法は独立した特性ではなく、モデルの異なる機能における様々な情報要素の位置づけの結果として認識される。 1. 外向 : ILE、 ESE、 SLE、 EIE、 SEE、 LIE、 IEE、 LSE    ・精神的エネルギーが外部に向かうことが多い。 ・集団と交流するとエネルギーが増す。 ・孤独になるとエネルギーが低下する。 ・通常、エネルギーレベルは高い。 ・周囲のことにより関心を向ける。 ・より活動的で主導的な傾向がある。 ・新しい友人を容易に作る場合が多い。 ・自己表現が得意な場合が多い。 ・チームで取り組むことを好む場合が多い。 1. 内向 : LII、 SEI、 LSI、 IEI、 ESI、 ILI、 EII、 SLI     ・精神的エネルギーが内部に向かう場合が多い。 ・一人でいる時にエネルギーが増す。 ・集団と交流するとエネルギーが低下する。 ・通常、エネルギーレベルは低い。 ・自分の考えや感情により関心を向ける。 ・より受動的で消極的な傾向がある。 ・多くの友人を持たないことが多い。 ・集中することが得意な場合が多い。 ・ひとりで取り組むことを好む場合が多い。 2. 感覚 : SEI、ESE、LSI、SLE、SEE、ESI、LSE、SLI  ・より現実的で地に足がついている。 ・全体像よりも詳細に気が付く。 ・今この場の生活、周囲の物事により関心を向ける。 ・生来、物理的な衝突に自信がある。 ・理論よりも実践に興味がある場合が多い。 2. 直観 : ILE、LII、EIE、IEI、ILI、LIE、EII、IEE ・より理想主義で空想に耽っている。 ・詳細よりも全体

MBTIとソシオニクスの違い:JP

MBTIのJPとソシオニクスのjpは同じものと言えるだろうか。通説では、MBTIの内向型はソシオニクスでjpが切り替わる。例えばMBTIのINTPはソシオニクスではINTjとなる。この現象はJPスイッチと呼ばれ、二つの理論を対比させる場合に混乱の元となっている。 結論から言うと、ロシアでは概ね 「jpスイッチは存在しない」 とされている。以下、 某ロシアのサイト から抜粋。 ISTJ:計画者、責任者。物事を完了する。社会で活躍する。計画、シーケンスの構築、何が不足しているかに気づく。予想外の出来事を嫌う。ISTJのこのようなイメージは、ソシオニクスLSIと完全に一致する。JPスイッチなし。 ISTP:問題を積極的に解決する。ツールを最適な方法で使用する能力。独立性への希求。直感による予感に基づいて行動する。強い感情によって不安になる。ISTPのこのようなイメージは、ソシオニクスSLIと完全に一致する。JPスイッチなし。 内向型の全てにこのような描写がされている。何故、機能が全く違うタイプ同士の描写がこれほど似ているのか? まず重要な前提として、 1.j=合理、p=非合理 2.INTP=INTj この二つを提唱したのは別人である(前者はソシオニクス創立者のオーシュラ・オーガスタ、後者はパヴロフ)。これが何を意味するかというと、 「1と2は同列で比較されるものではない」 ということだ。最初はこの事実を知らなかったので、ロシアのサイトを読むとこの問題について「ソシオニクスの合理・非合理とMBTIの判断・知覚の記述は著しく異なっていることから、これらは同一のものではないと考えられる」「内向の合理・非合理型と判断・知覚型は機能構造的に違うものであることから、違う型である」などと書かれていて、違和感があった。 確かに合理・非合理と判断・知覚の記述に差はあるが、「著しく」とまで表現するものなのか?そして内向のjpは入れ替わるものだから(INTP=INTj)、機能構造的に違うもの(INTP=INTp)を比べても意味がないのでは?と思ったのだが、これは根本的な勘違いだった。 実は、前者と後者は比較している指標そのものが違う。後者は「MBTIの内向型はソシオニクスでjpが入れ替わる」という日本では一般的な説で、比較しているのは心理機能である。一方、前者が